黒潮盃前日にオオエライジンとエンジェルツイート
 

 その貴重な血を後世に残すため、生まれ故郷に帰ってきた。11年の東京2歳優駿牝馬(大井)を制し、NARの2歳最優秀牝馬に選ばれたエンジェルツイート。昨年から繁殖入りし、今年3月12日に初子となる父シニスターミニスターの牡馬を生んだ。伏木田牧場の伏木田修さん(36)は「とてもいい子が生まれたんです」と目尻を下げる。

 「まだ線は細いけど、お母さんより歩きが軽いし、体の使い方もうまいんですよ。シニスターの子供なんで芝とはこれっぽっちも思っていません(笑い)。ダートで期待したいですね」

 エンジェルツイートの半兄は昨年の帝王賞で予後不良となった“兵庫のスター”オオエライジン。2頭の7代母は名牝クリフジ(繁殖名・年藤)で、エンジェルはその血を伝える役目を担っている。伏木田さんは「正直、クリフジの血統ということは知りませんでした」と苦笑いを浮かべる。

 「お母さんのフシミアイドルは地方で1戦1勝だったんですが、繁殖に残して良かったです。エンジェルには中央でも通用するスピードがあったと思いますし、実際に初子からこれだけいい馬を出してくれました。先々はうちの根幹牝馬になってくれると思います」

 今年は種付けを見送ったエンジェルツイートだが、来春にはオオエライジンの父キングヘイローを交配するプランがある。「ライジンとは4分の3同じ血統になります。園田のファンに向けた配合ですよ」。伏木田さん、そしてファンの夢の詰まった子供たちが、競馬場を駆け回る日が待ち遠しい。

 ◆エンジェルツイート(牝6)2009年4月17日生まれ。父タイキシャトル、母フシミアイドル。生産者は北海道浦河郡浦河町の伏木田牧場。現役時代は北海道・角川厩舎と大井・森下厩舎に所属して14戦4勝。2歳時に東京2歳優駿牝馬を制し、3歳時は南関東の牝馬クラシック戦線をにぎわした。半兄は昨年の帝王賞で競走中止、安楽死処分となった“園田の雄”オオエライジン。

 ◆ファインモーション 02年の最優秀3歳牝馬ファインモーションも、伏木田牧場で功労馬としてけい養されている。生殖能力がないことが医学的に明らかになっており、産駒は1頭もいない。ただしその分、体に負担がかかっていないこともあるのだろう、デインヒル産駒らしい筋肉ムキムキの牝馬離れしたボディーは16歳を迎えた今も健在だ。「本当に馬は若いですね。少し調教すれば、今でも未勝利ぐらいは勝てそうですよ」という伏木田さんの言葉も説得力があった。

 
来春はキングヘイローと種付け予定ってアツすぎる
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